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弁護士が解説!離婚しなくても請求できる?夫婦間での不貞の「慰謝料請求」の相場と実態

投稿日:
更新日:2026/03/11
離婚・慰謝料コラム 慰謝料

信頼していたパートナーからの不倫(不貞行為)。それは、あなたがこれまで築き上げてきた平穏な日常と自尊心を、根底から覆すほどに辛い出来事であったはずです。

「なぜ自分がこんな目に」「これからどうなってしまうのか」……今、この記事を読まれているあなたは、言いようのない孤独感や将来への不安、そして消えない怒りの中にいらっしゃるかもしれません。

弁護士として多くの相談者様のお話を伺ってきましたが、皆さんが共通して抱かれるのは「自分の傷ついた心は、法的にどう評価されるのか」という切実な疑問です。

慰謝料は、単なる金銭の授受ではありません。あなたの受けた精神的苦痛を法的に認めさせ、人生の再スタートを切るための大切な権利です。

この記事では、ネット上に溢れる根拠のない高額な数字ではなく、裁判例や実務に基づいた「リアルな相場」について、離婚する場合としない場合に分けて詳しく解説します。また、金額を左右する様々な要因や、知っておくべき法律の落とし穴についても、あなたの心に寄り添いながらお話しさせていただきます。

1. 慰謝料の金額を決定づける最大の分岐点:「離婚」の有無

慰謝料の金額を検討する際、裁判所が最も重視するのは、不倫によって「婚姻関係がどの程度壊されたのか」という点です。

① 離婚する場合:相場 150万〜300万円

不倫が決定的な原因となって離婚に至る場合、「平穏な家庭生活を送る権利」が完全に失われたとみなされます。そのため、精神的苦痛は非常に大きいと判断され、慰謝料も高額になる傾向にあります。

実務上の中心価格帯は150万〜200万円程度ですが、不倫相手が夫の子を妊娠させたり、不倫に加えてDVなどもあるなど悪質性が高い場合には、300万円程度の判決が出ることもあります。

② 離婚しない(関係修復を目指す)場合:相場 数十万円〜150万円

「子供のために今は離婚できない」「パートナーに反省を促し、もう一度やり直したい」という選択をされる方も多くいらっしゃいます。この場合も慰謝料請求は可能ですが、婚姻関係が形式的には継続しているため、裁判所は「精神的苦痛の程度は、離婚した場合よりは相対的に小さい」と判断することが一般的です。

そのため、相場としては50万〜100万円、高くても150万円程度に落ち着くケースが多くなります。

事情にもよりますが、場合によっては20〜30万円というケースもあり、かなり金額に幅があります。

③ 離婚はしていないが別居に至った場合:相場 100万〜150万円

離婚までは決断していないものの、不倫行為によって別居を余儀なくされた場合は、離婚した場合に準ずる苦痛があると評価され、離婚しない場合よりも高めの金額が認められやすくなります。

特に、慰謝料請求の時点では離婚はしていないものの、不倫を理由として別居し、離婚に向けた協議や裁判を行なっている場合については、関係の修復が見込めないと判断され、離婚した場合と同様に扱われる傾向にあります。

2. 金額を左右する「離婚の有無」以外の考慮要素

「離婚に至ったかどうか」はあくまで大きな枠組みであり、最終的な金額は、以下のような個別の事情(増額・減額要素)を総合的に判断して決められます。

【増額されやすい主な要素】

  • 婚姻期間が長期間である場合
    15年、20年と連れ添った末の不倫は、それまで築き上げた夫婦関係が壊されたことになりますから、精神的な損害も大きいと評価されやすいです。
  • 幼い子供がいるがいる場合
    育児で最も助けが必要な時期の不倫は、悪質性が高いと判断されやすいです。もっとも、不倫をしていること自体ではなく、不倫によって育児などがおそろかになるなどの事情がある場合に考慮されます。
  • 不法行為の態様・期間
    不倫が数年間にわたる、週に何度も会っていたなどの場合は悪質性が高いとされ、金額は上がります。
  • 妊娠・出産・性感染症
    不倫相手が妊娠・出産した、あるいは不倫によって配偶者に性感染症を移したといったケースは、尊厳を深く傷つけるものとして大幅な増額事由となります。
  • 精神疾患の発症
    一連の出来事が原因でうつ病や適応障害を発症し、通院や休職を余儀なくされた場合、損害も大きいと判断されやすいです。心療内科への通院歴や診断書などが証拠となります。
  • 経済的な
    家計から不倫相手に多額の金銭を贈与していたり、本来は家族の生活費であったものを不倫相手との関係維持のために使い込んだりした場合も考慮されます。
  • DVなどの暴力がある場合
    不倫だけではなく、DVなどの暴力も重なっている場合、法益侵害の態様がより悪質であるとして高額化する傾向にあります。

【減額されやすい主な要素】

  • 婚姻期間が極めて短い
    結婚して数ヶ月から1年未満などの場合は、夫婦関係が相対的に低いと見られることがあります。
  • 既に夫婦関係が良くなかった
    不倫が始まる前から別居していたり、あるいは既に離婚の話が出ていた場合などは、そもそも夫婦の守るべき「平穏な夫婦関係」が既に壊れかけていた場合などは、減額の理由となります。
  • 一回限りの過ちと反省
    不倫が一度きりであり、発覚後に真摯に謝罪し、関係を断ち切っている場合は低額になる場合もあります。
  • 社会的制裁を受けている
    不倫が原因で会社を解雇されたり、退職に追い込まれた場合など、既に一定の社会的なペナルティを受けている場合、精神的苦痛を補う必要性が一部解消されたとみなされることがあります。

3. 具体的な裁判例から見る金額の実態

実際の裁判でどのような判断が下されているのか、最近の裁判例をもとに、詳細な事例を見てみましょう。あなたの状況に近いものがあるかもしれません。

① 少額しか認められなかった裁判例

もともと夫婦の実態が希薄だったということで、不貞行為が婚姻関係の主な原因であるとは認められないとして、離婚をしたにもかかわらず慰謝料を30万円として認定したケース

「外で練習してきたら」などと不用意な発言をしたことが、不貞行為に及んだ引き金になっていることは否定できないとして、慰謝料を50万円として認定したケース

不貞相手が妊娠し子どもを産んでいるうえに、高級マンションに居住させてもらっていたものの、離婚をしていないことや謝罪の手紙を書いていることなどから、慰謝料80万円と認定したケース

② 高額な慰謝料が認められた裁判例

10年近い長期の不貞関係であり、過去の誓約を反故にし、夫から多額の金銭を受領していたなどの悪質な態様が認められ、慰謝料280万円が認められたケース

不貞相手と共同生活を送り、子までもうけたという事案で、慰謝料250万円が認められたケース

不貞関係を隠して不貞相手との子を嫡出子として届け出させたという事案で、その悪質性から慰謝料400万円が認められたケース

③ 肉体関係が認められなくても慰謝料が認められた裁判例

原則として、不倫の慰謝料には「肉体関係(不貞行為)」の証明が必要です。しかし、過去の裁判例では、肉体関係の確実な証拠はなかったものの、相手が既婚者と知りながら結婚を懇願するなどして執拗に交際を続け、結果として夫婦を別居・離婚に追い込んだというケースで、裁判所は70万円の慰謝料を認めたものがありますし、いくつかの裁判例では必ずしも肉体関係がなくても慰謝料が認められているケースが存在しています。

そのため、必ずしも不貞行為が証明できなくても、裁判所が慰謝料を認めてくれる可能性はゼロではないといえます。

4. 不貞行為の調査にかかった費用は請求できるのか

不貞慰謝料請求において、不貞行為を突き止めるために支出した興信所や探偵費用などの調査費用がかかる場合も少なくありません。

しかし、このような調査費用も不貞をした人に請求できるかどうかについては、裁判所の判断が肯定的なものと否定的なものに分かれているところです。

肯定的な裁判例としては、調査費用そのものを直接の損害とは認めないものの、多額の出費を強いられたことを「慰謝料算定の一事由としてしん酌すべき」としているものがあります。

また、別の裁判例では、「通常必要とされる調査費用の限度」で、不法行為と相当因果関係のある損害として認められるとしたものもあります。

逆に否定的な裁判例としては、相手方が当初から不貞事実を認めていたなど「立証への寄与が低い」場合や、既に不貞を疑わせる情報を得ており「調査の必要性・相当性」が認められない場合などは裁判所も調査費用の請求を認めない場合があります。

不貞行為を証明するためには、興信所や探偵による調査記録が有力な証拠となり得ますが 、その費用は数十万円から100万円を超えることもあり、安くはありません。多額の費用をかけて調査しても、証拠が集まらない場合もありますし、証拠が出てきたとしても、その調査費用のすべてが当然に損害として認められるわけではない点に留意が必要です。

5. なぜ弁護士に相談すべきなのか

今、あなたは心身ともに疲弊し、不倫をしたパートナーや不倫相手と直接言葉を交わすことさえ苦痛かもしれません。そんな中で、適切な証拠を集め、法的な議論を尽くして交渉を行うのは、あまりにも大きな負担です。

弁護士を代理人に立てることには、以下のような多くのメリットがあります。

弁護士が窓口になります
相手方の暴言や理不尽な言い訳、責任転嫁を直接聞く必要がなくなります。私たちが窓口となり、あなたの平穏な時間を守ります。

「逃げ得」を許しません
個人での請求は無視されがちですが、弁護士名義の内容証明郵便を送ることで、相手に「逃げられない」という強いプレッシャーを与えることができます。

謝罪や今後の相手方との接触についても交渉できます
慰謝料の請求にあたっては、相手方の謝罪を求めたり、「今後一切接触しない」といった他の約束を求める場合が少なくありません。しかし、合意書や示談書の文言を間違えると、その後に夫へ請求しようと思っていたのができなくなったり、法的にはあまり意味のない条項が入ったりするなど、場合によっては将来のトラブルにもつながります。法的に穴のない示談書を作成することで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。

最適な着地点を提案します
高額請求にこだわりすぎて裁判を長引かせ、かえって精神的に追い詰められるケースもあります。私たちはあなたの将来の生活設計を見据え、最も「納得のいく解決」を共に模索します。

最後に・・・

パートナーの不倫は、あなたを傷つけるだけでなく、未来をも曇らせてしまうかもしれません。しかし、どうか一人で抱え込まないでください。

慰謝料請求は、あなたが受けた痛みを正当に評価させ、失われた尊厳を取り戻すための儀式でもあります。

私たちは、法律の専門家としてだけでなく、あなたの再スタートを支えるパートナーとして、最後まで寄り添います。どんなに小さな不安でも構いません。

まずはご相談ください。

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【著者情報】


離婚や不貞慰謝料、相続など、家庭や男女問題をめぐる法律問題に対応。女性弁護士も所属し、モラハラ被害者の救済に注力。年間1000件を越える離婚や不倫慰謝料等の男女問題に関するご相談に対応。

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財産分与で頻繁に問題となる争点と財産分与を 弁護士に依頼するメリット

投稿日:
更新日:2026/02/25
離婚・慰謝料コラム 財産分与

1.はじめに

結論から申し上げますと、財産分与が最も弁護士に依頼するか否か、あるいはどの弁護士に依頼するかによって大きく差がでてしまいます。

財産分与が争いになる場合、様々な観点から議論が生じ得ますに、お互いの立場によって主張は異なります。以下、財産分与に際して頻繁に問題となる争点についてご紹介させていただきます。

2.共有財産か特有財産か

⑴ 考え方

財産分与の対象となる財産は、あくまで婚姻後に夫婦が協力して築いたとして評価される夫婦の共有財産のみです。結婚前に築いた財産や、相続によって引き継いだ財産は「特有財産」として財産分与の対象となるものではありません。

しかし、「特有財産」に該当するか否かの判断は必ずしも簡単なものではございません。

⑵ 結婚前の預貯金

この点、結婚前の預貯金が共有財産とは別の口座で明確に分離して管理されている場合は、財産分与の対象となる可能性は高くありません。

他方で、一見して結婚後の預貯金通帳等に残っている財産については、原則として共有財産とみなされかねません。預貯金は他の財産と比べても特に流動性が高く、結婚前の財産と結婚後の財産が混然一体となって管理されていることも少なくありません。

例えば、以下のケースでは頻繁に預貯金の共有財産性が問題となりがちです。

・結婚前の通帳に、結婚後もそのまま共有財産としてのお金が出入りしている場合
・結婚後に作った預貯金通帳に結婚前の預貯金を移動させた場合
・結婚後の収入は貯金に充てつつ結婚前の預貯金を生活費に充てていた場合

通常、当該預貯金が特有財産であると主張したい側が特有財産性を立証しなければなりません。結婚期間が長期間にわたっている場合などは、複数にわたる通帳履歴や通帳間のお金の行方を追いかけ、特有財産性を証明するという作業が必要になります。

膨大な記録を読み解き、お金の流れの法律的な意味を考えるという点は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。

⑶ 親族等から資金援助を受けて自宅を購入した場合

夫婦の自宅を購入するにあたり、夫婦の一方または双方の両親から資金援助を受け、頭金の支払等に充てる等して自宅を購入される方は少なくありません。

その際、援助を受けた当時の金額をそのまま特有財産として財産分与から除外し、速やかに返還して欲しい旨希望される方がいらっしゃいますが必ずしも妥当ではありません。通常は、援助を受けた金額は自宅に姿を変えており、その間、自宅を夫婦で使用した結果、自宅の価値も下がっていくからです(例えば、建物の価値が殆どゼロになった後に、購入当時の援助資金相当額を返還しなければならないとなれば、極めて不公平な状況に陥りかねません。)。

では、どのように考えるのが法律上妥当なのでしょうか。残念ながら画一的な方法は確立されておらず、個々の状況によって臨機応変に検討されることが殆どです。

代表的な手法としては、自宅購入費における、親族等からの資金援助額を割合的に算出し、基準時の当該自宅の価格から資金援助額相当額を差し引き、その残額を財産分与の対象とする方法があります。もっとも、この方法も、計算の順番や方法によって最終的な金額に差が出ることもあり、確実な方法ではありません。

いずれにせよ、様々な考え方があり、立場によっても主張する内容は大きく変わってくることでしょう。このように、親族等から資金援助を受けて自宅を購入した場合は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によって大きく差が生じ得るところです。

⑷ 交通事故の賠償金等

交通事故の賠償金等が財産分与の対象となり得るかという点もしばしば問題となり得ます。交通事故の賠償金等は、当該被害者が交通事故に遭った結果、保険会社等から支払われるものであり、夫婦が協力して築いた財産ではありません。その為、一見すると特有財産にあたり、財産分与の対象とならないように思えます。

実際、賠償金等を受領した立場からすれば、全額が財産分与の対象にならない旨の主張をされることも少なくありません。

しかし、交通事故の賠償金等が支払われるにあたっては、様々な費目ごとに損害額が計算されることが殆どです。

いわゆる慰謝料については特有財産と考えられることが一般的でしょうが、婚姻期間中の逸失利益額については必ずしもそうとは言えません。「逸失利益に対応する部分は、後遺障害がなかったとしたら得られたはずの症状固定時以後の将来における労働による対価を算出して現在の額に引き直したものであり、上記期間中、配偶者の寄与がある」と考えられる為です(大阪高決平成17年6月9日参照)。

このように、交通事故の賠償金等が争点となる場合も、この裁判例を知っているか否かによって主張が大きく変わるものであり、弁護士によって大きく差が生じ得るとこです。

3.財産分与の対象となるかが問題となる財産

⑴ 子供名義の預貯金

子供に対するお小遣いやお年玉など、子供が自由に使えるお金とした贈与したといえるような場合は子供特有の財産となり、財産分与の対象とはなりません。他方で、子供の将来に備えて夫婦の収入から子供名義の通帳に積立貯金していたような場合は実質的に夫婦の共有財産といえ、財産分与の対象となります。

その他、親族からの各種お祝い金や児童手当など、子供名義の預貯金が財産分与の対象となるかについて争われることは少なくありません、いずれにせよ、子供名義の預貯金は、その形成の趣旨、目的、管理状況等に照らして個別具体的に判断されることになります。その為、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。

⑵ 法人名義の財産

財産分与は夫婦個人の共有財産が対象となるものですので、原則として法人名義の財産は財産分与の対象となりません。あくまで個人名義の持分権や株式が財産分与の対象となります。

もっとも、法人化しているものの、殆ど個人経営に近く、法人と個人の資産管理が明確にできていないケースも少なくはありません。そのようなケースでは、法人の決算報告書や預貯金通帳等を精査し、当該財産の実態が法人のものなのか個人のものなのかについて明らかにする必要があります。

膨大な記録を読み解き、お金の流れの法律的な意味を考えるという点は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。

⑶ 退職金

ア 財産分与の対象となるか

殆どのケースで、離婚時に退職金は支給されておらず、仮に財産分与の対象になるとしても、手元の支払の原資はありません(なお、既に支給済みの退職金は単に預貯金・現金となり、婚姻期間に対応する部分が当然に財産分与の対象となります。)。

その為、将来、退職金の支給を受ける方は可能な限り退職金を財産分与の対象にはしたくありません。他方で、財産分与を求める側からすれば、婚姻期間が一定程度長期にわたっている場合、多くのご家庭において退職金は不動産と並んで財産価値の高い財産になる為、退職金は是が非でも財産分与の対象としたいところです。

退職金が財産分与の対象となるか否かについては、退職金支給時期までの期間や、支給の蓋然性の程度によって大きく異なります。

支給時期まで30年以上ある場合は財産分与の対象とはしにくいですし、そもそも婚姻期間との関係で財産分与の対象となる部分は極めて小さくなりがちです。他方で、支給時期まであと5年程度であれば財産分与の対象となる可能性は極めて高くなります。もっとも、支給時期まで何年であれば退職金の対象となるかについては明確な定めが無い為、支給の蓋然性(公務員や上場企業等の会社員であれば蓋然性は高くなりがちです。)によってその判断は大きく分かれることになるかと思います。

イ 対象となる金額

また、仮に退職金が財産分与の対象となり得るとしても、本来、退職金は将来の退職時に支給されるものであり、離婚時には発生していません。この場合、将来受給できるはずの退職金を現在価値に引き直す作業(いわゆる中間利息の控除)が必要となります(東京地判平成11年9月3日参照)。計算方法によっては、財産分与の対象となる退職金の金額が大きく変動する可能性があり、弁護士によっても大きく差がでるところです。

ウ 支払方法

最後に、仮に退職金が財産分与の対象となるとして、判決や審判等で判断が下される場合、直ちに退職金を考慮した上での金額を財産分与として相手に支払えという結論になりかねません。しかし、繰り返し申し上げるとおり、退職金は将来の退職時に支給されるものであり、離婚時には発生していません。その為、そのまま漫然と判決や審判を受けてしまうと、支払に窮することとなり、最悪、強制執行等の法的手段を取られてしまいかねません。

その為、退職金が財産分与の対象となり得る場合は、早い段階から支払方法(退職金発生時に一括払いするか、離婚後から分割払いする等)について相手方と交渉をし、可能な限り協議や和解等によって紛争を解決することが望ましいです。

このように退職金が問題となる場合は、弁護士の腕の見せ所であり、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。

⑷ 住宅ローン

ア 財産分与の対象となるか

本来、清算的財産分与は離婚時ないし婚姻関係破綻時に存在する積極財産(資産)を精算する制度ですので、住宅ローンを代表とする夫婦の債務は当然に財産分与の対象とするものではありません。

もっとも、公平の観点から、当該債務が資産形成の対価であるある場合は、当該資産と共に考慮すべきであり、夫婦の自宅を購入する為に負担することになった住宅ローンは、不動産の価額から住宅ローンを控除する等の方法によって財産分与の対象となり得ます。

イ オーバーローンの場合(夫婦の一方が債務の名義人の場合)

いわゆるオーバーローンの場合は、資産価値がゼロであり、財産分与の対象としないのが原則です。その結果、残代金債務は、債務の名義人が負担することになり、負債の半額の支払を相手に求めることは法律上できません。

しかし、そのような結果は、債務の名義人に過大な負担を負わせかねません。そこで、弁護士が相手と交渉することによって住宅ローンの支払を実質的に養育費の支払いとして取り扱う等の方法で実質的な公平を目指していくことになります。

ウ オーバーローンの場合(夫婦の双方が連帯債務等を負っている場合)

オーバーローンの場合、当該自宅を売却したとしても双方に残債務が残ることとなり、売却は必ずしも得策ではありません。その為、夫婦の一方が自宅を取得し、事実上、住宅ローンの支払を自宅の取得者が引き受けるという方法が頻繁に取られます。

しかし、そのような場合でも当然に自宅を手放す方の連帯債務が無くなるわけではありません。自宅を取得する側は残債務の借り換え等の方法によって一括返済ができなければ連帯債務はそのまま残ってしまいます。当然、何らかの事情によって自宅を取得した方が住宅ローンの支払を怠った場合、結果的に自宅を取得していないにもかかわらず、残債務の支払を請求されるリスクは残ります。

いずれにせよ、夫婦の双方が連帯債務等を負っている場合、個別の夫婦の事情を正確に分析し、将来のリスクを想定した上で最善の方法を選択する必要があります。

4.最後に

以上のとおり、比較的頻繁に問題となるケースでも、弁護士によっても大きく差が生じ得るところです。当然、ここに記載していない部分でも財産分与は極めて法律的な要素が大きく、弁護士介入のメリットは大きいものといえます。

財産分与が争点となりそうな方は一度当事務所にご相談下さい。

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【著者情報】


離婚や不貞慰謝料、相続など、家庭や男女問題をめぐる法律問題に対応。女性弁護士も所属し、モラハラ被害者の救済に注力。年間1000件を越える離婚や不倫慰謝料等の男女問題に関するご相談に対応。

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