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【第22話】モラハラ夫のクレーム 第2弾

小説版

皆さんは、モラハラ夫が私と出かけた旅行先で、モラハラ夫が宿泊先の旅館に対してクレームを言い、カスハラ夫の称号を手に入れたエピソードを覚えていらっしゃいますでしょうか。

今回、もうひとつ、カスハラ夫の称号を決定づけるエピソードをご紹介させていただきます。

それは、夏の終わり、ちょうど肌寒くなってきた頃、秋の気配を感じる季節のことでした。

その日、私はいつものように仕事終わりに制服から私服に着替えるため、会社のロッカーの扉を開けました。

私は、ロッカーを開けると私服に着替える前に必ずバッグの中の携帯電話を確認します。

その頃は、すでにモラハラ夫は携帯電話を持っていたので、毎日の仕事終わりには必ずモラハラ夫から何かしらの連絡が入っていました。

その日もいつものようにメールが届いていたので、モラハラ夫からのメールを開きました。

すると、そこには「今日、美容室で耳を切られた。ケガをしたから病院に行ってきた。明日も病院に行く」とありました。

私は「夫が大変なことになった。明日も病院に行くなんてきっと大変な大けがをしたに違いない」と咄嗟に心配になり、そのまますぐにモラハラ夫に電話をしました。

電話口でモラハラ夫は「痛い。血がすごく出た」と私に言うので、これは大変なケガをしたのだと改めて認識したのです。

私はモラハラ夫のことが心配でたまらず一目散に自宅に帰りました。

私の頭の中では、耳を深く切られて大出血し、まるでゴッホの自画像のような包帯をぐるぐるに巻かれた姿のモラハラ夫を想像していました。

自宅に着き、玄関の扉を開けてモラハラ夫を見た瞬間、私は絶句しました。

モラハラ夫はいつもと変わらず、強いて何かが違うと言うのなら、右耳の外側の軟骨の皮膚部分に、注射をしたあとに貼るような、小さな小さな絆創膏を貼っていました。

「なんともなってないじゃん!ただのかすり傷じゃん!」 私がモラハラ夫を見て最初に思ったことでした。

けれど、モラハラ夫にとっては、自分の耳が切られたことは、まるで国民的アニメの人気キャラクターの猫型ロボットが、ネズミに耳をかじられたような大事件だったようです。

そのあと私は、モラハラ夫から、美容室で耳を切られた経緯を延々と聞かされました。

そして、その日からしばらくモラハラ夫のかすり傷の治療のための通院が始まりました。

初日は私も仕事が休みだったため付き添うことにしました。

到着した病院のエントランスには、かなりの長身で、がっちりとした体格のひとりの、35歳前後くらいの男性が立っていました。

モラハラ夫が耳を切られた美容室の本部の部長(以下「N部長」と言います。)でした。

モラハラ夫が通っていた美容室は、比較的規模の大きい美容室であったため、本部にはいくつかの部署があり、部長が何人か在籍しておりました。

今回の件の一切の責任は、そのN部長が担っておりました。 

N部長は、私とモラハラ夫を見つけると、私達夫婦に向かって深々と頭を下げ、謝罪の意を表しました。

私に対しても「この度はご主人のこと、大変申し訳ありませんでした」と謝罪の言葉を述べてくれました。

N部長は、モラハラ夫のケガが完治するまで毎回の通院に付き添うとまで言ってくれました。

私は思いました。「こんなかすり傷のためにここまでしてくれるなんてすごいな」と。

そして、私は病院の診察室で、初めてモラハラ夫の傷を見ることになりました。

その傷は、案の定、かすり傷でした。

むしろ、もう通院しなくても良いのではと思いましたが、モラハラ夫は、担当の医師に「感染症が発症する可能性はどうですか」と尋ねました。

医師は「100%ないとは言い切れません」と言いました。

モラハラ夫はその答えを聞いて「ならば可能性が”0”になるまで通院します」と言い、傷が消えるまで通院することに決めたのです。

私は、ただのかすり傷が、モラハラ夫によって大ごとになっていくことを目の当たりにしたのです。

また、それからほぼ2日に1回、時間も昼夜問わず、モラハラ夫はN部長と、N部長の個人の携帯へ電話を掛けて、N部長と話をするようになっていました。

次回の通院日がいつだとか、モラハラ夫はその美容室が本当に好きなのだとか、次に髪を切るときはN部長に担当して欲しい(N部長は元美容師)とか、気がつけば、モラハラ夫はN部長と親しげに話をするようになっていました。

それも、お喋りなモラハラ夫の電話ですので、1回の電話には30分~1時間ほどの時間を要していました。

けれど、そんな見せかけだけの親しげな関係もそう長くは続きませんでした。

モラハラ夫は、N部長には昼夜問わず電話を掛けます。しかも、上述のとおりN部長の個人の携帯にです。

ある日の夜遅く、いつものように電話を掛けると、N部長はモラハラ夫の電話が長すぎるからと電話を途中で切ってしまったそうです。

モラハラ夫はこれが気に入らなかったようです。

それからモラハラ夫は、N部長が電話に出るまで何度も何度も着信を入れました。

しかしながら、その日はそれ以降、N部長は電話には出てくれませんでした。

これに腹を立てたモラハラ夫はその翌日、その美容室の本部に電話を掛け、N部長の上司と話しをしていました。

モラハラ夫は、N部長の上司に対して、N部長が客という自分を、ましてやケガを負わせた自分をどれだけぞんざいに扱ったかを、いつものお喋りな調子で延々と説いていました。

このときの電話では、モラハラ夫は、N部長の上司の対応に満足したようでしたが、モラハラ夫が再度N部長の上司宛に本部に電話を掛けたところ、今度はN部長の上司まで、これ以降、モラハラ夫からの電話に出てくれることがなくなったのです。

モラハラ夫は完全にモンスターカスタマーとして、その美容室に認識されてしまっていたようです。

その後、モラハラ夫は感染症を発症することもなく、通院を終え、美容室側からいくらかの示談金を受け取り、この事件は終了したのです。

季節はもうすでに紅葉真っ盛りの秋になっていました。

清武 茶々

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