「養育費は払わない」と夫に言われた・・・泣き寝入りするしかない?
夫から「養育費は払わない」と言われた場合、今あなたがどのような段階かによってできる方法は異なります。
まだ離婚前で、これから離婚条件を決めていく段階でしょうか。
離婚は成立したけど、養育費については決めていないという状況でしょうか。
養育費について金額や支払い終期まで決まっていた段階でしょうか。
「養育費は払わない」と言われてもすぐに諦める必要はありません。いまだ養育費の金額や支払い終期を決めていないのであれば、きちんとした手続に則って養育費の支払い義務を認めていただきましょう。既に養育費の支払い義務が定まっていたのであれば、強制執行等の手続で回収を目指しましょう。
養育費の支払い義務の発生時期について
離婚案件での養育費の支払い義務は、一般的に請求時から発生します。離婚後、直ちに養育費を請求しない場合、請求しなかった期間の養育費については当然に遡って支払い義務が認められるものではありません。もちろん、未払いとなった経緯や未払いの金額によっては遡って支払いが認められる場合もありますが、あくまで例外的な運用となっております。
したがって、その為、養育費の金額や支払い方法については、可能な限り離婚後ではなく、離婚前に明確に定めておくことをお勧めいたします。
未払い養育費を請求するには
調停、訴訟上の和解、判決・審判等の裁判所の手続で養育費の金額が決められた場合、このような手続を経て決められた合意の内容を「債務名義」といいます。また、裁判所の手続とは別に、別途公証役場で作成した公正証書も同様に「債務名義」としての効力を持っています。
「債務名義」の最大の効力は、直ちに強制執行が可能という点にあります。「債務名義」が存在するにもかかわらず、合意に沿った養育費の支払いが無い場合、直ちに強制執行の手続を取ることができます。強制執行は、大きく不動産に対する執行、債権に対する執行、動産に対する執行の三つに分けられます。もっとも、養育費のように定期的に発生する権利の回収に対して最も効果的な強制執行は、いわゆる給与に対する差押え・執行ではないでしょうか。
「債務名義」があれば、養育費等に係る債権の一部に不履行があるときは、確定期限が到来していないものについても差押えをすることができます。すなわち、1回の差押えによって、将来分の養育費についても継続的に取り立てることができ、差押えの手間が大幅に省けます。また、養育費については、他の一般的な債権が給与の4分の1までしか差し押さえられないのに対し、給与の2分の1まで差押えが可能です。
以上のとおり、未払い養育費をきちんと回収する為には、調停、訴訟上の和解、判決・審判等の裁判所の手続で養育費の金額を決めておくか、公証役場で公正証書を作っておくことがとても大事になります。
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