不倫の事実が発覚し、精神的苦痛を負った場合、不貞行為を行った配偶者と、その不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。しかし、慰謝料請求を行うためには、相手の氏名と住所を特定する必要があります。特に、不倫相手の住所がわからない場合、内容証明郵便の送付や訴訟提起といった法的な手続を進めることができません。
このような場合、住所を調べる方法はいくつかありますが、ご自身で安易に調査を行うことは、プライバシー侵害やストーカー行為とみなされるリスクを伴いますし、容易に住所を特定することは叶いません。そのため、弁護士や探偵といった専門家に依頼することが、安全かつ確実に情報を得るための最善の方法です。この記事では、弁護士がどのような方法で不倫相手の住所を調べるのか、その合法的な手段について詳しく解説します。
不倫相手の住所の調べ方
不貞相手の住所の調べ方については、「誰が調べるのか」という視点から、以下のとおり、整理できます。ただし、後述するとおり、ご自身での調査はできるだけ控えるべきといえます。
弁護士に依頼する
弁護士は、法律で認められた特別な権限を用いて、合法的に情報を取得することができます。これは、個人が自力で調べる場合と比べ、はるかに安全で確実な方法です。弁護士は、依頼者の代理人として、慰謝料請求という明確な目的のために住所を調査するため、法的な問題が生じるリスクを回避できます。
ちなみに、弁護士は、調査をするためだけに依頼を受けることは許されていませんので、弁護士の調査を求める場合には、不貞慰謝料請求について弁護士に依頼する必要がありますからご注意ください。
探偵に依頼する
探偵は、尾行や張り込みといった専門的な調査技術を駆使して、不倫相手の住所を特定します。弁護士が法的な手続で情報を得るのに対し、探偵は現場での行動調査が主な手段となります。不倫の証拠収集と合わせて住所や勤務先の特定を依頼することも可能です。
ただし、探偵の調査だけでは法的な手続を進められないため、住所特定後に慰謝料請求を行う場合は、改めて弁護士に依頼する必要があります。また、探偵に調査を依頼する場合には、相応の費用もかかります。
自分で調べる(要注意)
ちなみに、自分で住所を調べようと試みる方もいますが、これは非常に危険な行為です。例えば、不倫相手の自宅周辺をうろつく行為は、相手があなたと同性であったとしても、ストーカー規制法の対象となる可能性があります。また、知人を装って個人情報を聞き出そうとすることは、詐欺罪などに問われるリスクも否定できません。更に、違法な手段で得られた情報は、裁判所において、慰謝料請求の際に証拠として認められない可能性もあります。ご自身の身を守るためにも、そして慰謝料請求訴訟において不利な結末にならないためにも、安易に個人で調査を行うことは避けるべきです。
弁護士が不倫相手の住所を調べる方法
弁護士は、依頼者の代理人として、法的な目的のために情報を取得できます。その主な手段が「弁護士会照会」です。これは、弁護士法23条の2に基づき、弁護士が所属する弁護士会を通じて、公的機関や企業などの団体に、必要情報の開示を求める制度です。この制度を利用することで、個人では決して得ることのできない情報を合法的に取得できます。
弁護士会照会
弁護士会照会は、以下のような特定の情報が判明している場合に有効な手段です。
不倫相手の勤務先が分かっている場合
不倫相手が勤めている会社が判明している場合、弁護士は会社に対して弁護士会照会を行うことができます。照会の内容は、「従業員の氏名、住所、連絡先」などを尋ねるものです。会社は、弁護士会からの照会に対し、正当な理由がない限り回答する義務があります。この方法で、勤務先の情報から自宅の住所を特定できる可能性があります。
ただし、不倫相手の勤務先に不必要に「●●という従業員が不貞をしている。」という事実を伝えることとなりますから、以下の情報が分かるのであれば、そちらを優先して調査することが多いです。
不倫相手の携帯番号が分かっている場合
配偶者の携帯等から、不倫相手の携帯電話番号が分かっていれば、弁護士は携帯電話会社に対して弁護士会照会を行います。照会により、その電話番号の契約者の氏名、住所、生年月日などの情報を開示してもらうことができます。
現代では、多くの人が携帯電話を日常的に利用していますし、携帯電話を購入する際には免許証の記載に則った氏名、住所、生年月日を携帯電話会社に届け出ますから、非常に有効な手段です。
不倫相手の車両ナンバーが分かっている場合
また、不倫相手が使用している自動車等のナンバープレートを控えている場合、弁護士は運輸支局に対して弁護士会照会を行います。これにより、車両の登録名義人の氏名や住所を特定できる可能性があります。
ただし、この方法で特定できるのは「登録名義人」の住所であり、必ずしも不倫相手本人の住所とは限らない点には注意が必要です。不倫相手も既婚者である場合、不倫相手が自分の配偶者名義の自動車を利用していたり、そもそもローンの支払が未了でディーラーに所有権留保が残されたりしている場合には、不倫相手自体の住所が判明しないこともあります。
住民票の請求(市区町村がわかる場合)
不倫相手の氏名と、過去の住所(少なくとも市区町村まで)が分かっている場合、弁護士は市区町村役場に対して住民票の職務上請求を行うことができます。これは、弁護士が依頼者の代理人として、正当な理由(慰謝料請求など)のために必要であると説明することで、役所から住民票を取得できるという制度です。この方法で、不倫相手の現在の住所まで特定できる場合があります。
探偵が不倫相手の住所を調べる方法
探偵は、弁護士が利用する法的手続とは異なり、独自の調査方法で住所を特定します。これらの方法は、不倫の証拠収集と同時に行われることが多く、総合的な調査を依頼する際に有効です。
尾行調査
まず、不倫相手の勤務先やよく行く場所、行動パターンを把握し、そこから自宅まで尾行することで住所を特定します。専門の訓練を受けた探偵は、相手に気づかれないように尾行を行い、写真撮影等を行うことができるため、情報の精度が高いのが特徴です。
特に不貞の証拠を確保した場合には、不倫相手がそのままどこに帰るかを確認することができます。このため、あなたの配偶者を不貞現場まで尾行することができれば、そのまま不倫相手の住所を特定できることがあります。
張り込み調査
不倫相手の勤務先、または待ち合わせ場所などで張り込みを行い、出入りする様子を確認して住所を特定します。この方法も、尾行と組み合わせて行われることが多く、確実な情報を得るために用いられます。
不倫相手があなたの配偶者と同じ職場にいる場合など、確実な居場所を特定できているのであれば、張り込み調査が威力を発揮します。
SNS・ネット上の公開情報の調査
近年、SNSの普及により、多くの人がプライベートな情報を公開しています。探偵は、不倫相手のSNSアカウントやブログなどを徹底的に調査し、写真に写り込んだ背景や、位置情報、友人の投稿などから住所の手がかりを見つけ出します。
これらは広く一般的に公開されている情報を利用した手法であるため、プライバシー侵害のリスクも低いです。ちなみに、不倫相手のSNSアカウントやブログなどを見つけた場合には、いわゆる鍵アカウントにされたり、アカウント自体を削除されたりする前に、印刷・スクリーンショットなどで保存しておくとをお勧めします。
まとめ
以上のとおり、不貞相手の住所の特定の仕方について解説しました。
不倫相手に慰謝料を請求するためには、まず相手の住所を正確に特定することが不可欠です。しかし、自己流の調査は、法律に抵触するリスクや、慰謝料請求の妨げになる可能性を伴います。安全かつ確実に住所を特定し、その後の慰謝料請求手続を円滑に進めるためには、弁護士に依頼するのが最も有効な手段です。弁護士は、弁護士会照会や職務上請求といった法律に基づく方法で情報を取得できるため、違法な手段を用いることなく、目的を達成することができます。
もし、不倫相手の住所がわからずにお困りの場合は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。当事務所では、離婚事件を多く扱っていますので、信頼できる探偵のご紹介もできます。ぜひ、配偶者の不貞・浮気にお悩みの場合には、当事務所までご相談ください。あなたからのご相談をお待ちしております。
お問い合わせ・無料相談のご予約はこちら
お電話・相談フォーム・LINEでのお問い合わせは24時間受付中!
東京・神戸・福岡・長崎・熊本・鹿児島を拠点に対応中!
平日17:30〜翌9:00及び休祝日での電話でのお問合せにつきましては、
受付内容の確認後、担当者より折り返しのご連絡をさせて頂いき予約を確定いたします。