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財産分与の調停を有利に進める方法を弁護士が解説

投稿日:
更新日:2025/11/13
離婚・慰謝料コラム 財産分与

離婚調停を申し立てる場合、多くの事例では、調停の中で、財産分与の金額が争点となります。財産分与の協議では、お互いの財産の有無・金額(評価額)を争い、紛争が長期化することも、ままあります。

他方で、離婚が成立した後で、財産分与だけを争う調停(財産分与の調停)を起こす場合もあります。この場合、離婚後2年以内に財産分与の調停を起こす必要があります

これらの調停における財産分与交渉を有利に進めるためには、どのような準備をすれば良いのでしょうか?以下、このページでは、財産分与の調停を有利に進める方法を解説いたします。

財産分与の調停を有利に進める方法

財産分与の調停を有利に進めるためには、以下のとおり、事前にどれだけの準備を行えるかどうかが鍵となります

1.資産を正確に把握・証拠を集めておく

最も重要なのが、資産を正確に把握し、証拠を集めておくことです。調停では、夫婦が婚姻期間中に共同で築いた財産(共有財産)を分与の対象とします。これを「特有財産」(婚姻前から所有していた財産や、婚姻中に相続・贈与で得た財産など、夫婦の協力とは無関係な財産)と区別し、正確に把握する必要があります。

財産分与の調停を有利に進めるには、同居中に、以下の証拠を、可能な限り集めておくことが不可欠です

  • ・預貯金:通帳や残高証明書(特に別居時点など基準日時点のもの)
  • ・不動産:登記簿謄本、固定資産評価証明書、購入時の契約書、住宅ローンの残高証明書。
  • ・生命保険・学資保険:保険証券、解約返戻金計算書
  • ・退職金:勤務先に確認できる資料(退職金規定、直近の給与明細、退職金見込額証明書)。
  • ・有価証券:株券等の株に関する資料、証券口座の取引報告書、残高証明書。
  • ・自動車:車検証、査定書。

これらの証拠と、相手方の財産に関する正確な情報がなければ、あなたの主張する財産額が調停委員や裁判所に認められない可能性があります。財産分与の調停において、客観的証拠は、財産分与額の正当性・公平性を裏付ける最良の武器となります

2.隠し財産の確認

離婚・財産分与の調停においては、相手方が財産を少なく見せようと財産を隠すケースは少なくありません。調停を有利に進めるためには、この隠し財産を可能な限り見つけ出しておく必要があります

例えば、相手方の様子や、集めた客観的証拠から、以下の点についてチェックしておくと良いでしょう。

  • ・疑わしい金融機関:相手方の給与振込先や、実家近くの金融機関など、普段利用している可能性のある銀行・支店名を把握しておく
  • ・不自然な資金移動:婚姻費用や生活費の動き、別居直前の大きな出金がないか、通帳の履歴を徹底的にチェックする
  • ・郵便物:相手方宛の郵便物から、新たな口座、保険、証券などの手がかりがないか確認する

財産分与の調停では、裁判所を通して相手方に財産開示を求める手続(調査嘱託など)もありますが、どの金融機関の、どの支店について開示を求めるかなど、具体的な情報がなければ有効な調査結果が得られない可能性もあります。同居中の間に、相手方の行動や情報を基に、事前に目星をつけておくことが重要です

3.弁護士に依頼する

財産分与の調停を有利に進めるためには、弁護士に依頼することが有用です

財産分与の調停は、単に財産を分けるだけでなく、法的な評価や専門的な交渉が必要になります。特に、不動産の評価方法、退職金の算定、清算的財産分与の考え方など、複雑な論点が多くあります。これらの論点については、専門家である弁護士の助力を得るべきといえるでしょう

財産分与の調停の流れ

財産分与の調停は、家庭裁判所で行われます。一般的な流れと期間は以下の通りです。

  • ①申立て:相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書と必要書類を提出。
  • ②第1回調停期日:申立てから約1ヶ月~1ヶ月半後に指定されることが多いです。
  • ③調停期日:裁判官1名と調停委員2名で構成される調停委員会が間に入り、申立人と相手方が交互に話を聞かれます(当事者が顔を合わせることは稀です)。
  • ④合意・調停成立:双方が財産分与の内容に合意に至れば、調停成立となり、調停調書が作成されます。この調書は、確定判決と同じ効力を持ちます
  • ④’調停不成立:合意に至らない場合は不成立となり、審判手続に移行します

調停の期間は、事案の複雑さや当事者間の対立の程度によって大きく異なります。ちなみに、調停期日は、通常、1か月に1回程度の頻度で開かれます。

  • ・比較的スムーズな場合:数回の期日で終了し、3か月~6か月程度で成立。
  • ・財産の調査や評価に時間がかかる場合、対立が激しい場合:1年程度、あるいはそれ以上かかることもあります

調停に必要な書類・費用

財産分与の調停に必要な書類・費用についても、ご説明します。

3.必要な書類

財産分与の調停を申し立てる場合には、以下の書類が必要となります。

  • ・戸籍謄本等、相手方との婚姻関係を示す書類
  • 財産分与の対象となる財産関係が分かる書類

これらを準備した上で、財産分与の調停を申し立てることとなります。また、既に別居済みの場合には、財産分与の対象が別居時点の財産とされるため、別居日についての説明も必要となります

2.必要な費用

また、調停申立ての際に裁判所に納める費用も必要となります。

  • ・申立手数料:収入印紙1200円分(ただし、財産分与調停のみの場合)。
  • ・郵便切手代:裁判所から当事者への書類送付に使用。裁判所によって異なりますが、5000円前後。

なお、これらに加え、弁護士に依頼する場合は、弁護士費用(着手金、報酬金など)が別途必要になります。弁護士費用は、事務所ごと・弁護士ごとに異なりますので、必ず相談時点で弁護士に確認をするようにしてください。

調停が不成立の場合はどうなる?

財産分与の調停で、当事者間に合意が成立しなかった場合、調停は「不成立」となります。この場合、調停では話がまとまらないものとして、手続は審判手続に移行します

審判手続とは、裁判官が、それまでに提出された証拠や当事者の主張に基づき、財産分与の内容を最終的に決定する手続です。調停のように話し合いで解決を図るのではなく、資料を基に、裁判官が法的な判断を下すこととなります。

審判でも、事前に集めて裁判所に提出した証拠が非常に重要になります。審判の結果に不服がある場合は、不服申立てを行い、管轄の高等裁判所での再度の審理・判断をもらうことも可能です。

財産分与の調停を弁護士に依頼するメリット

調停を有利に進め、最終的な審判も見据えますと、弁護士に依頼することには、以下に示すような非常に大きなメリットがあります

1.複雑な財産の評価

まず、複雑な財産の評価について、専門家である弁護士の助力を得ることができます

不動産の評価額や、退職金の算定、生命保険の解約返戻金相当額など、専門的な知識がなければ正確な評価が難しい財産が多くあります。弁護士は、これらの適正な評価額を算出し、法的に認められる分与額を正確に計算します。複雑な財産があるほど、弁護士の専門性が活かされます

2.調停委員や裁判所に説得力ある主張を展開できる

次に、弁護士に依頼すれば、調停委員や裁判所に対して、説得力ある主張を展開することができます

調停では、証拠に基づき、法的・論理的で一貫した主張をすることが求められます。弁護士は、集めた証拠を法的な根拠と結びつけ、調停委員や裁判官(審判の場合)が納得できる主張書面を作成・提出します。この際には、相手方の主張に対する的確な反論を行うことも重要ですし、特有財産の立証と財産分与対象からの除外主張を展開することも重要です。いずれの主張も法的専門家である弁護士だからこそできるものといえるでしょう

これらの専門的な対応により、財産分与の調停を有利な方向へ導くことができます

3.精神的負担を減らすことができる

また、弁護士に依頼すれば、調停に関して生じる精神的負担を減らすことができます

離婚や財産分与の話し合いは、調停であっても協議であっても、精神的に大きな負担を伴います。特に、相手方との直接のやり取りは強いストレスになります。弁護士が代理人となることで、それらすべての交渉窓口となれば、依頼者は調停期日での調停委員とのやり取り以外の苦痛から解放されます。精神的な安定は、冷静な判断と戦略的な対応に繋がり、結果として調停を有利に進める上でも重要な要素として機能します。

まとめ

以上のとおり、財産分与の調停を有利に進めるために重要な点について解説しました。

財産分与の調停を有利に進めるための鍵は、「正確な証拠の収集」と「法的な専門知識に基づく主張」です

  • 正確な資産の把握と証拠の確保(通帳、登記簿、保険証券など)
  • 隠し財産の有無の徹底的な確認
  • 弁護士という専門家による法的戦略の構築と実行

これらの準備を怠らなければ、調停、そして不成立後の審判においても、適正な財産分与を実現できる可能性が高まります。財産分与は、離婚後の生活を左右する重要な問題です。早期に弁護士に相談し、戦略的に手続を進めることを強くお勧めします

当事務所は、DVが絡むような難しい離婚案件も多く手掛けています。お困りの際には、ぜひ、当事務所にご相談ください。

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【著者情報】


離婚や不貞慰謝料、相続など、家庭や男女問題をめぐる法律問題に対応。女性弁護士も所属し、モラハラ被害者の救済に注力。年間1000件を越える離婚や不倫慰謝料等の男女問題に関するご相談に対応。

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