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モラハラ夫に無断で別居しても良い?~同居義務違反について~

投稿日:
更新日:2024/10/02
離婚・慰謝料コラム モラハラ 婚姻費用

モラハラ夫との離婚を考えた場合、まずモラハラ夫と別居したいと思う方は多くいらっしゃいますが、モラハラ夫に無断で別居しても良いのかどうか、悩まれるケースが少なくありません。
そこで、モラハラ夫に無断で別居しても良いのか、同居義務とはどのようなものか等について、ご説明します。

夫婦の同居義務とは~同居義務違反について

民法は「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とし、夫婦の同居義務を定めています(民法752条)。
このような夫婦の同居義務は、夫婦という共同生活を維持するためのものであり、婚姻における本質的な義務であるなどといわれます。

夫婦の同居義務に違反することは「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)として法律上の離婚原因になりうるほか、相手が家庭裁判所に同居を求める調停や審判を申し立てれば、確率は高くないものの、裁判所から同居を命じられることもあります。

別居するのに理由は必要?~どのような理由であれば別居は認められるか

このように、夫婦には同居義務があるため、夫婦の一方が何の理由もなく別居することは他方に対する同居義務違反になります。

もっとも、夫婦であるからといって、いかなる場合にも別居することが認められないわけではありません。
別居することに「正当な理由」があれば、法律上、同居義務違反とはされず、別居しても法律上の問題は生じません。

別居について「正当な理由」があるとされる例として以下のようなケースがあります。

・夫が単身赴任をするケース
仕事の関係でやむを得ず夫が単身赴任をするケースは多くありますが、この場合、婚姻関係を維持していくための別居であることから「正当な理由」があり、同居義務違反にはなりません。

・子どもの進学のため妻と子どもが一時的に別居するケース
子どもを地元以外の学校に進学させるために妻と子どもが一時的に別居するということも時々行われますが、当事者双方が合意し納得しているケースであり、この場合も別居に「正当な理由」が認められ、同居義務違反にはなりません。

それでは、夫からモラハラを受けている妻が別居する場合「正当な理由」があるといえるでしょうか?
以下でご説明いたします。

モラハラ夫が同居義務違反を主張してきたら?

実際の相談事例

夫のモラハラに悩んでいる方が、別居したいと考えて、相手に提案したとき「同居義務違反だ!」などと脅されるケースは少なくありません。

当事務所でお受けするご相談においても

「夫に、別居して話し合いたいと伝えたところ『別居は絶対に許さない。勝手に別居したら同居義務違反で慰謝料を請求する』と言われているので、別居はできそうにありません。どうしたらいいでしょうか」

「モラハラ夫との生活に耐えられず、別居を考えています。しかし、夫は『そんな勝手なことは許さない』『悪意の遺棄だ』などと脅してきます」

などのお話を伺うことが多くあります。

「別居は認めない」「別居は許さない」と言われ、離婚の話合いをすること自体を諦めてしまい、何もできないまま時間がたってしまうという方もいらっしゃいます。

モラハラ夫に無断で別居することは同居義務違反か

しかし、夫からモラハラを受けて精神的に追い詰められ、夫との同居生活をつづけていくことができないなどのケースにおいては、基本的に、別居せざるを得ない「正当な理由」が認められ、夫に無断で別居したからといって同居義務違反になることはありません。

モラハラ被害から逃れるために、別居という手段を選択することは、やむを得ないことです。
もっとも、長年モラハラ被害を受けていらっしゃる方は、自尊心を奪われたり、いわゆる洗脳状態になったりしており「自分が間違っているのではないか」「社会的に立派な夫が間違っているはずがない」などと考えがちです。

そこで、夫から「別居は絶対に許さない」と言われてしまうと、別居に踏み切れなくなってしまうことが多々あります。
しかし、モラハラを理由として別居することは決して責められるべきことではありませんし、すでにご説明したとおり、基本的には「同居義務違反」や「悪意の遺棄」と言われるべきものでもありません。
モラハラ夫との別居に悩まれた場合には、一度弁護士にご相談ください。

モラハラ夫との別居に関するご相談は弁護士へ

モラハラ夫との別居に悩まれた場合、弁護士は「別居は許さない」「勝手に別居したら悪意の遺棄になる」などというモラハラ夫の言い分に屈する必要がないことをご説明し、別居へと踏み出せるようサポートさせて頂きます。

別居を決めた場合、個別のご事情に応じて、別居までに準備しておくべきことは様々ですが、弁護士からはこれらの点についてもアドバイスをいたします。

たとえば、モラハラ夫と別居する場合には、別居先の住所を秘匿できるようにしておくこと、夫から警察に捜索願が提出されても受理されないようにしておくこと、夫が親族のところに押しかけた場合の対処法を検討しておくことなどが必要です。

また、別居後の婚姻費用の請求や、離婚の際の財産分与の請求に備えて、夫名義の財産に関する情報を確認し、できるだけ資料を集めておくことも必要になります。

当事務所は数多くのモラハラ離婚案件の解決実績がございます。
モラハラ夫との離婚を考え、モラハラ夫と別居したいと思われた方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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