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「仕事をするな」はモラハラなのか?

投稿日:
更新日:2024/10/02
離婚・慰謝料コラム モラハラ

モラハラ夫の特徴

モラル・ハラスメント、いわゆる「モラハラ」とは、言葉や態度によって、相手の人格を継続的に傷つけ、その苦痛や恐怖によって相手を支配し、思い通りに操ろうとする、精神的な暴力のことをいいます。

加害者が、このようなモラハラ行為に走る背景には「相手を絶対的に支配することによって、常に優越感を感じていたい」という強い欲求があるといわれています。

そこで、モラハラ夫は、妻に対し「こんなことも分からないのか!」とバカにしたり「お前が悪い!」と言って責めたりしながら、妻の人格や自尊心を徹底的に傷つけ、妻への支配を確立していきます。

妻に仕事をさせない夫

家庭の事情によっては、妻が仕事に出ると、不都合が生じる家庭というのもあるでしょう。
お子さんが幼いけれど、保育園に預けられず、ほかに子どもの世話を頼めるところがない場合などが典型です。

しかし、そのような事情がないにもかかわらず、妻に仕事をさせない夫がいます。

そのような夫は、それまで専業主婦をしていた妻が、仕事をしたいと思い立ち、相談すると
「仕事などする必要はないだろう!」
「俺の稼ぎでは足りないというのか?」
などと言って、妻が仕事をすることを許しません。

妻は、納得できず、もやもやとした気持ちになりますが、夫の言うことに逆らえず、仕事をすることを諦めてしまいます。

「仕事をするな」はモラハラの可能性がある

モラハラ夫には、妻をバカにしたり、執拗に責めたりしながら、妻の自尊心を奪っていくという特徴があるとお伝えしました。
このことを前提にしますと、夫が「仕事をするな」と言うことは「モラハラ」にはあたらないようにも思えます。

しかし、妻に仕事をさせないことは、モラハラ夫の典型的な行動の一つでもあるのです。
なぜ、モラハラ夫は、妻に「仕事をするな」と言うのでしょうか?

モラハラ夫の欲求は「妻を完全に支配し、優越感を感じていたい」ということにあります。
そのための手段として、モラハラ夫は、妻から「力」を奪っていくのです。
ある時は「こんなこともできないのか!」と妻をバカにし、ある時は「お前が悪いからこんなことになるんだ」などと妻を執拗に責めながら・・

そんなモラハラ夫にとって、妻が仕事をして経済力をつけることは不都合なことでしかありません。
妻が仕事を通じて社会とつながりを持つようになることも、家庭内での支配を確立したい夫にとっては、不都合なことでしかありません。
そのようなことを通じて、妻は、夫の支配から脱する「力」をつけてしまう可能性があるからです。

合理的な理由がないにもかかわらず、妻に「仕事をするな」と言う夫は、モラハラ夫である可能性があります。
モラハラ夫にとって、妻に仕事をさせないことは、妻を支配しつづけるための、いわば常套手段ともいえるのです。

ご本人には判断がむずかしい

このように「仕事をするな」という夫は、モラハラ夫である可能性があります。
しかし、モラハラ被害を受けている妻にとって、その判断をすることは容易なことではありません。

精神的な暴力であるモラハラは、身体に対する暴力のように、分かりやすい形でなされるものではないため「暴力を受けている」と自信をもって断言しづらいものです。

加えて、モラハラ被害者は自尊心を傷つけられているため、自分の判断に自信をもつことができず、常に「自分が間違っているのではないか」と考えがちです。
そのため、夫に「仕事をするな」と言われた場合
「自分が仕事をしなくてもよいように稼いでくれている夫の言うことが正しいのではないか」
「不満をもつ自分のほうがおかしいのではないか」
などと考えてしまうことが多いのです。

「モラハラかも」と思うけれど、よく分からない、自信がないという方は、ぜひ、モラハラを熟知した弁護士にご相談ください。
モラハラを熟知した弁護士であれば、あなたからご事情を伺い、夫の行為がモラハラに当たるのかどうか、客観的に判断してお伝えすることができます。

モラハラを熟知した弁護士にご相談を

「仕事をさせてもらえない」という形でモラハラを受けている妻は、その他の態様によっても、夫からモラハラを受けている可能性があります。
そして、そのような夫とは、将来的に「離婚問題」に発展していく可能性があります。

「モラハラで離婚したい」というご相談は、近年急増しています。
もっとも、モラハラを理由に離婚をしようとする場合には、身体への暴力や不貞行為を理由とする離婚の場合にくらべて、慎重に、戦略的に動いていかなければならない点が多いといわれています。

たとえば、証拠の残し方もその一つ。
夫が仕事をさせてくれない事情も、それが「モラハラに当たる」ということを説明できるような形で証拠を残しておく必要があります。

モラハラに熟知した弁護士であれば、モラハラ夫に対して、どのように対処していく必要があるか、適切なアドバイスをお伝えすることができます。
「モラハラかも」と思われた場合には、ぜひ、弁護士にご相談ください。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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