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モラハラスッキリ体験談

投稿日:
更新日:2024/10/02
離婚・慰謝料コラム モラハラ

事案A モラハラ夫(医者)の日常的な嫌がらせに苦しんだ妻の例

私は、20代でかつての主人と結婚しました。
夫は医師をしており、私は看護師の職にありましたが、同じ職場で共に仕事をする中で恋愛関係に発展し、その後結婚しました。
医師との結婚ということもあり、私の結婚は周りから大いに祝福され羨ましがられましたが、今思えば私は当時から彼の人柄に疑問を感じていました。どういうことかと、彼は非常に気難しく人を疑うことが多かったのです。
結婚後まもなく子を授かり、夫の勧めから私は退職して家庭に入ることになりました。
夫も当初は私の身体を気遣い、子の誕生を喜び、よい夫という面が多かったと思います。しかし、子の誕生してからも夫は仕事を理由に子育てをせず、次第に子の成長にも無関心になって行きました。
一方で、子が自分の意向に沿わない振舞いをすると「お前の躾がなってないからだ」「家でゴロゴロしてくるくせに、なんで子育てもろくにできないんだ」とキツク当たってくるようになりました。
年齢が嵩み、職場での地位が上がるとともに夫の態度は家庭内においても尊大なものとなっていき、家事などで少しでも夫の意に沿えなかったときに、「お前はいつも家で楽できていいな」「お前が生活できているのは誰のおかげだ?」「俺と同じだけ稼いでみろよ」「一人で生活できるのか?」「お前なんて社会的に全く評価されない存在だ」と心無い発言を繰り返すようになりました。
最初の頃は、心から謝罪して感謝の気持ちを伝えると夫も納得してくれたり、「感情的になってすまなかった」と後から逆に謝罪してくれることもありましたが、次第にそれもなくなり、謝罪しても「お前はいつも平謝りだな」「お前が馬鹿で何度も同じことを繰り返すから俺が何度も叱らないといけないんだ。どう責任取るんだよ?」「お前は家政婦以下だ」等と、余計に批難を繰り返すようになり、私は自分の人格自体が否定されているような気持ちとなり、夫とコミュニケーションを取ること自体に恐怖するようになりました。
心が委縮するのを感じ、本来最も安心できる空間であるはずの家の中が、私にとっては最も怖い場所となっていました。
毎日、夫が帰って来るのが怖くて仕方がなくなり、夫の帰宅時間の2時間程前になると顔面から血の気が引き、自然と吐き気を催すような状態となりました。
ここまでの状態に至ったのが、私が30代後半の頃でした。この段階に来ると、自分自身でも精神だけでなく身体的な変調を明確に意識するようになり、夫に告げずに町の精神科医に受診したところ、鬱病と告げられました。
子供もまだ中学校に入学したばかりであり、自分がしっかりしなければと思いましたが、そう思えば思う頭痛や吐き気などを催すものになり、限界と思って夫に相談したところ、「自業自得」「気持ちの問題」「お前が弱いからだ」「俺はもっと困難で辛い仕事をしてやってる」といった批難で返されました。私の心はこれで完全に折れ、夫との離婚を決意しました。

その後、ネットで法律事務所を検索し、離婚問題に取り組まれている弁護士の方を数件まわり、説明の具体性や反応の真剣さを見ながらどの程度詳しそうか、どれくらい親身になってくれるかを見て決めました。
幸い、私のケースでは良い弁護士さんに会えたと思っています。
弁護士さんと協議としながら、離婚協議の準備段階として夫と別居することを決めましたが、別居前にすべきことを弁護士さんが事細かに教えて下さったので助かりました。色々な指示を受けましたが、その中でも後々とても役立ったのが夫の財産調査です。
主人は勤務医ではありましたが社会的にはかなり高額な部類の給与を得ていたため、そこで積み上げられた財産の分与が主要な論点となりました。
主人は医師の仕事のかたわら、不動産投資をしたり、株式投資をしたり、預金もネット銀行を含むいくつかの銀行に分けて管理しておりました。
結婚生活の中で、財産管理はすべて夫がしており、私は夫の財産がどのようになっているのかを知りませんでした。しかし、弁護士さんから「別居後に財産分与の協議を行う際、ご主人が正直に自身の資産を開示する保証はない。財産が隠されている場合、手掛かりがなければ調査しようがなくなる。」と聞かされ、同居中に財産の在処の手掛かりを写真で取っておくように助言を受けました。
それで、私は夫が仕事で留守の際に彼の書斎に入り、彼の机の中等を確認したところ、銀行の通帳やキャッシュカード、証券会社や保険会社の封筒が見つかったためこれらを全て写真に納めました。
また、住宅の売却査定も夫が留守の間に取っておきました。
別居後に住む家を見つけ、いざ別居した後は、弁護士さんからすぐに介入通知(「受任通知」というそうです。)を送っていただき生活費の請求もしてもらいました。
主人は以外にも離婚自体を争ってきて、「離婚したくない。謝罪するから戻って来て欲しい」と裁判所の中でも繰り返していましたが、戻ったところで同様の生活が繰り返されることが目に見えていたため、私は応じる気になれませんでした。
その後、親権の問題等でも揉めましたが、特に問題となったのが財産分与でした。夫は自発的には自分の名義の財産をほんの一部しか開示しませんでした。裁判所にはこれだけしかないと説明していたようです。
同居当時、私は主人の財産に一切触らせてもらえていなかったので、私が知らないと考えていたようです。
しかし、先程のとおり、事前に弁護士さんから言われ、私は彼の財産を全部事前に調べていたため、証拠として通帳やキャッシュカード、証券会社の封筒等を出し、これらの資産を開示するよう求めることができました。
夫は、それでもそんなところに財産はないと繰り返したたため、やむなく弁護士さんから裁判所を通じて資産調査を行っていただき、結果として3000万円以上の隠し財産が出てきました。
彼はそれらの財産を分与することに最後まで抵抗していました。
書面では、私が「家事もろくにしていなかった」「子供の躾もしていなかった」「財産の形成に何らの寄与も行っていない」等好き放題のことを言っていましたが、どれも裁判所からは無視され、財産分与の請求が認められました。直接は見ていませんが、夫の悔しそうな顔が目に浮かびました。

最終的な離婚条件としては、子供が大学を出るまでの間の養育費も取ることができ、将来に渡って非常に安心できるものでした。
別居後は私も就労を開始し、両親の協力も得ながら子供と楽しく充実した毎日を過ごすことができています。また、夫と離婚した後、結婚はしておりませんが、私のことを理解してくれる男性と出会うことができました。
結婚には至っておらず同居もしておりませんが、そうした距離感で男女の関係を持つことが今の私には精神的に受け容れやすく心の平穏を保てております。
夫と過ごしていた頃のことを振り返ると今でもぞっとしますが、その時に我慢し続けなくて本当に良かったと思っています。
私が毎日笑顔で過ごすことができ、子どもも喜んでくれており、今は毎日が本当に幸せです。

世の中には私と同じように悩んでいる方も少なくないと思います。
私と同じ状況ではないため簡単に何かを発言できる立場にはありませんが、少なくとも終わりの見えない我慢の連続だけは避けた方がよいと思います。
自分の心は自分の身体が一番よく知っていると思います。
私の経験に照らせば、身体的な変調が現れた時が精神的にも我慢の限界だと思います。
くれぐれも心や身体のSOSを見逃さず、逃げる勇気を持つことがあなた自身やあなたのことを思う周りの方々のためになると思います。
私の経験が僅かでもモラルハラスメントにくるしむ他の方々の役に立てば幸いです。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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