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父親が親権を得るには?獲得できた事例を交えて弁護士が解説

投稿日:
更新日:2025/10/09
事例紹介 離婚・慰謝料コラム 親権・監護権

“母性優先の原則” “継続性の原則”

 日本の家庭裁判所では、この原則が長らく親権者を決める際に重要視されてきました。

 実際、日本では離婚時の親権争いにおいては、父親が親権を得ることは難しいとされています。

 しかし、父親でも親権を獲得できたケースは存在します。それらの事例の成功の鍵は、子供の福祉を最優先に考え、具体的な養育環境を整えることにあります。

 以下では、父親が親権を獲得できた事例を紹介するとともに、父親が親権を獲得するために重要な事項をご紹介いたします。

父親が親権を獲得できた事例

 それでは、まず、当事務所が父親側で離婚事件を担当して、父親が親権を獲得できた事例をご紹介します。

「子どもを自宅に置いて出ていった妻との離婚に成功し、さらに父親が親権を取得した事例」

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 この事例では、父親は、妻が不貞行為に及んで自宅を出て別居したにもかかわらず、更に妻側から離婚調停が申し立てられていました。母親は、子どもを自宅に置いて不貞相手のもとに行った上に、子どもの親権を自己に渡すようにとも求めていました。

 ご主人は、あまりに不憫な状況に置かれてから、不貞をはたらいて自宅を出た妻に親権を渡すことはできないとの思いを抱き、当事務所にご相談にいらっしゃいました。そこで当事務所では、妻が起こした離婚調停での対応をスタートしました。

 当方からは、調停委員に対し、丁寧に不貞行為がなされた事実や別居に至る経緯などを説明するとともに、現在の父親による子どもの監護状況を示しました。結果として調停委員を味方に付けることができましたので、調停委員からも妻を説得してもらい、2回目の調停にて親権を獲得することができました。

 この事案では、まさに別居後に父親による適切な監護養育実績が積み重ねられたことが父親に有利にはたらくとともに、母親が子どもを置いて不貞相手との同居を開始してしまったことが母親に不利にはたらいた事案といえます。これらの要素によって、父親でも親権を獲得することが実現できました。

「法律上の離婚原因が無く、子どもの条件(親権・養育費・面会交流)について大きな争いがあったにもかかわらず、協議で離婚が成立し、公正証書も作成した事例」

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 この事例では、特に法律上の離婚原因があったわけではないのですが、妻が夫に対して離婚を求めていました。夫も離婚については同意していたものの、子どもに関する諸条件(親権・養育費・面会交流)について折り合いが全く付かず、協議が難航していました。法律上の離婚原因があるわけでもなく、離婚調停や離婚訴訟までは行っていない事案です。

 ご主人は、なんとか親権を獲得して離婚したいとのご要望で、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

 当事務所では、交渉に入ってから、妻と電話交渉を続けましたが、さすがに親権を譲るとの結論は容易に得られず、粘り強い交渉を要しました。結果として、面会交流について詳細に定めを置く代わりに、夫が親権を獲得することで合意をすることができました。また、母親に相場相当の養育費を支払わせる合意をもすることができ、最終的に公正証書による離婚協議書を作成することにも成功しました。

 この事案では、明確な離婚原因はないものの、当事務所の粘り強い交渉と、相手方に譲るべき部分(本件では面会交流)は最大限譲歩するというスタンスのおかげで、妻側から親権を譲ることの同意を取り付けることができたといえます。

「父親が子ども3人の親権を取得できました!!」

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 この事例では、いわゆる価値観の違い(特に子育てをどうするかの相違)を理由に、夫が妻を相手に離婚調停を起こしていました。調停の結果、親権についての協議がまとまらなかったため、離婚に至ることはできず、夫は、家を出てしまった妻に代わり、子どもの監護を続けました。

 ご主人は、再度離婚請求をするために、当事務所にご相談にいらっしゃいました。お子様は3人いらっしゃいましたので、シングルファーザーとして生きていくという決心をされた上でのご決断だったでしょう。

 当事務所がご依頼を受けてから、改めて別居している妻を相手に離婚調停を申し立てました。当初、妻は離婚には一切応じない姿勢を貫いていましたが、妻も徐々に当方の主張に納得し始め、最終的には離婚に応じることとなりました。また、大きな争点となっていた親権についても、当事務所の弁護士が家庭裁判所調査官に対して妻の監護態勢が不十分であることを示しつつ、逆に夫の監護態勢に何らの問題もないことを示したことで、父親が子ども3人全員の親権を獲得することができました。

 この事案では、やはり父親が適切な監護養育を継続することができている実情をつぶさに示すことによって、裁判所の見解を「親権者は夫にすべき」との方向に持っていくことができたといえます。法律上の離婚原因もない事案でしたので、そもそもの離婚の合意に関する交渉から難航した事案でしたが、お子様全員の親権を得られたお父さまの喜びを思えば、非常にやりがいのあるケースだったと振り返ることができます。

父親が親権争いで不利な理由

 そもそも父親が親権を獲得しにくいとされる主な理由は、いくつかの社会的な慣習や法的な判断基準に起因します。

母親が「主たる監護者」として扱われやすい

 多くの家庭では、母親が日常的な育児や家事を主に担っているケースが多く、裁判所は「継続性の原則」に基づき、これまでの養育環境を維持できる母親を親権者として認めやすい傾向があります。

乳幼児は「母性優先の原則」

 特に幼い子ども(乳幼児)の場合、精神的・身体的な発達にとって母親の存在が不可欠であるという考え方から、母親が親権を得やすいとされていました。これが、いわゆる「母性優先の原則」です。近年ではこの考え方も柔軟になりつつありますが、依然として影響は残っています。

 また、継続性の原則や母性優先の原則によって、特に幼い子どもの親権が母親に委ねられた場合、他のきょうだいの親権についても、「きょうだい不分離の原則」により、同じ親権者に委ねられることが多いのです。この点にも留意が必要です。

仕事の時間的制約

 また、一般的にフルタイムで働く父親は、子どもの送り迎えや学校行事・三者面談への参加など、育児にかけられる時間や柔軟性が母親に比べて少ないと判断されることがあります。フルタイムで働くことの多い男性ならではのビハインドといえますから、親権を得るためには、例えば父親の両親(子どもの祖父母)などの協力を得ると有効です。

父親が親権を得るための重要なポイント

 父親が親権を獲得するためには、これらの不利な点をカバーし、自身が子どもにとって最適な養育者であることを裁判所や相手方に明確に示す必要があります。

主たる監護者であることを示す

 まず、別居前から積極的に子どもの世話をしていた実績を証明して示すことが非常に重要です。まさに、あなた自身が主たる監護者であると示すのです。具体的には、以下のような証拠を準備しましょう。

  • ・日々の育児記録(食事、入浴、寝かしつけなど)
    ※育児用のアプリや日記などに記録を残すと有用です。
  • ・学校や保育園の連絡帳
  • ・子どもの通院記録
  • ・子どもと過ごしている写真や動画

 たまに遊びに出かけるだけではなく、日々の育児をあなたが行っていたと示すことができるか否かが、勝負の分かれ目といえるでしょう。

離婚後も育児を続けられる環境の用意

 また、離婚後にも育児を続けられる環境を用意することも重要です。経済的な安定だけでなく、時間的・環境的に、祖父母の協力を得るなどして仕事と育児の両立が可能であることを示さなければ、親権を得ることは困難です。

  • ・勤務形態(リモートワーク、フレックスタイムなど)の見直し
  • ・育児を手伝ってくれる親族(祖父母など)やベビーシッターなどのサポート体制の確保
  • ・子どもが安全に暮らせる住環境(学区、治安など)の準備

 特に母親と子どもが家を出て別居した場合には、すぐに転居してしまう男性が多いですが、従前の住環境・学校環境を維持するという観点からは、家を維持した方が良い場合もありますので、実際に行動する前に弁護士にご相談されることをお勧めします。

子どもの福祉を最優先に考えている姿勢

 更に、子どもの福祉(利益)を最優先に考えている姿勢を示せるとより良い結果を得やすいでしょう。教育費にどの程度の資金を割くことができるか、子どものためにどのような環境を用意することができるか、といった視点を持つことが必要です。

母親側に親権が不適切とされる事情とその証拠がある

 逆に、母親側に育児放棄(ネグレクト)、虐待、不貞行為、子どもに悪影響を与えるような言動など、親権者として不適格と判断される事情があれば、その証拠を集めることが有利に働きます。

  • ・虐待や育児放棄の証拠(写真、動画、診断書など)
  • ・母親が子どもと長時間離れていたり、育児を放棄したりしていることを示す証拠

 母親側に児童虐待に当たるような言動がある場合には、裁判所も母親に親権を渡すことに消極的になりますので、証拠を得ることができた場合には、必ず保管しておきましょう。

子どもの意思(年齢が高い場合)

 子どもが15歳以上の場合、親権者を決める上で、裁判所は子の意向も聞かなければなりません。このため、子どもが父親との生活を望んでいる場合は、その気持ちを家庭裁判所の調査官に伝える機会(子の意向調査)が設けられることが多いです。

 このような調査が行われる場合には、子どもの意思に寄り添い、決して誘導しないよう慎重に対応することが大切です。お子様が思っていることを、第三者である裁判所に、中立に聞いてもらいましょう。

弁護士に相談するメリット

 さて、父親が親権を獲得することを目指す場合には、弁護士に相談すべきメリットとして、以下のようなものが挙げられます。ご依頼されるかは別としても、一度専門家の意見を聞いておいて損はないでしょう。

親権獲得の「可能性」や「現実性」を客観的に判断してくれる

 最も重要なのは、親権獲得の可能性や現実性を客観的に判断してくれることでしょう。

 依然として現在の日本では、父親が親権を獲得することは難しいといえます。仮にあなたの状況を踏まえて親権を獲得することが現実には難しいとすれば、考え方を変えて、面会交流を充実されることや、学校行事への参加、子ども本人との連絡手段の確保など、親権以外に獲得を目指すべき多くの事項に目を向ける必要があります。

 あなたの状況を客観的に見ることができるのは、専門家である弁護士ならではといえます。

必要な証拠や準備すべき書類が明確になる

 また、弁護士に相談することで、必要な証拠や準備すべき書類も明確になります。やみくもに資料を集めて裁判所に出すのではなく、クリティカルな重要な資料を選別して分かりやすくまとめた方が、より裁判所を説得しやすくなります。

冷静な交渉が可能

 これは離婚事件一般にも当てはまりますが、どうしても夫婦当事者同士ですと、色々な点で感情的な争いになりがちです。このような争いで互いに精神をすり減らしてしまうと、まとまるものもまとまらず、議論は枝葉末節まで及んで泥沼化します。

 ぜひ、第三者としての専門家にご相談いただくことをお勧めします。

まとめ

 さて、以上のとおり、父親が親権を得る際に重要な視点について、実例も踏まえながらご説明しました。当事務所では多くの離婚事件を担当しておりますし、上記のとおり、父親が親権を獲得した解決事例も持っています。

 お悩みの際には、実際に争いになる前でも結構ですので、当事務所までご相談ください。

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【著者情報】


離婚や不貞慰謝料、相続など、家庭や男女問題をめぐる法律問題に対応。女性弁護士も所属し、モラハラ被害者の救済に注力。年間1000件を越える離婚や不倫慰謝料等の男女問題に関するご相談に対応。

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