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【39話】果たされない約束

小説版

モラハラ夫が私の地元へ移り住むことが決まり、私は地元で転職活動を始めていました。

ちなみに、モラハラ夫から徹夜のモラハラを受けて臨んだ面接試験の結果は、案の定、不合格となっていました。

転職活動は、某有名転職サイトのエージェントを利用して行うことにしました。

私の実家でのモラハラクリーン作戦が成功して以来、モラハラ夫と私の関係は、私の父と母の公認になっていました。

私は実家で自由にモラハラ夫と電話やメールでのやり取りができるようになっていました。

皆さんは、私が自分の判断で物事を決められなくなり、モラハラ夫の操り人形と化していたエピソードを覚えていらっしゃいますでしょうか。

転職活動をはじめるにあたっても、私のその状態は継続していました。

私は、転職についても、モラハラ夫からあれやこれやと指示を受けており、自分の意思はほとんどありませんでした。

職種や業種、給与の条件はすべてモラハラ夫の希望で、それをあたかも私の転職条件であるかのように転職サイトの担当エージェントに伝えておりました。

そして、いくつかの企業をエージェントに紹介してもらいました。

私は、紹介された企業のすべてに履歴書と職務経歴書を送付し、各企業からの面接の連絡を待ちました。

ところが、どれだけの企業に履歴書や職務経歴書を送っても、一向に面接の連絡は来ず、すべて書類選考で落とされてしまっていたのです。

モラハラ夫の希望する私の転職先は、私のこれまでのキャリアとは正反対の職種だったからです。

皆さんも覚えていらっしゃると思いますが、私はモラハラ夫との婚姻期間中、その日にあったことをすべてモラハラ夫に報告しておりました。

今回の転職活動の状況も当然ながら、すべてモラハラ夫に報告をしなければなりませんでした。

私から電話で転職活動の報告を受けたモラハラ夫は、私がなかなか選考に進まず、就職先が決まらないのは、私が社会人としてダメだからで、人として必要とされていないからだというモラハラを繰り出してきたのです。

「お前のこれまでの会社でのキャリアなんて世間では大したことなかったんだよ。店長になっても大したことないんだな。12年も勤務してもその程度なんだな。お前ってほんと魅力の無い人間なんだな」

相変わらずでした。

私の父と母の公認になったところで、モラハラ夫は何も変わることはなく、相変わらずのモラハラぶりでした。

ところで、皆さんは、私があれほどの騒動を起こしてモラハラ夫と離れたにも関わらず、またも一緒になろうとしたりする行動に少々イライラしているかもしれません。

正直、私もこの頃は、自分の行動が正しいのか、再びモラハラ夫と一緒になることが本当に自分にとってよいことなのか、私の地元に一緒に住むとまた同じ過ちを繰り返すのではないかと、出口の見えない迷路に迷い込んでいたのは確かでした。

けれども、最終的には、私がダメな人間だから、私が変わればモラハラ夫は本来の優しさを取り戻してくれる、そして何より、モラハラ夫はなんだかんだ言っても私がいないと生きていけないはずだと本気で思っていたので、私が迷い込んだ迷路のゴールは、モラハラ夫と一緒にいるということでした。

話を戻しまして、私がモラハラ夫に転職の報告の電話をしていたとき、その様子を私の側で見ている人物がいました。

それは私の母でした。

母は私とモラハラ夫が電話で話をしている様子を側で見ており、私がモラハラ夫との電話のあと、元気がなくなっていくことを不思議に思い、私に声を掛けてきたのです。

「どうしたの?」

母が私にそう問いかけてくれたので、私は、書類選考がなかなか進まず、面接にも進めないことに、モラハラ夫が悲しんでいると告げました。

すると、母は優しい声で「お母さんが○○君と話をしてみようか」と言ってくれたのです。

すぐに私はモラハラ夫に電話をかけ、その電話を母に繋ぎました。

母は、以前のモラハラ夫への対応とは180度違い、優しい声で、まるでモラハラ夫をカウンセリングするかのようにモラハラ夫と電話で話しをしてくれたのです。

それは時間にして2時間近く経っていました。
その間、私は母の様子しか伺えませんでしたが、母はモラハラ夫の話に終始頷き、時折笑顔を見せながら、どちらかというととても良い雰囲気でモラハラ夫との電話を終わらせていました。

母はその電話が終わると私に「大丈夫だよ」と言って安心させてくれました。

そして、その電話以降、私がモラハラ夫との電話でモラハラを受けると、母がその電話を変わってくれるという、一風変わったルーティンができてしまいました。

モラハラ夫も母と電話をしたあとは、上機嫌になってくれました。
けれども、毎回2時間を超える長電話です。

次第に疲弊してきたのは母の方でした。

そんなある日、また私がモラハラ夫との電話でモラハラを受け始めたため、モラハラ夫が「お母さんに変われ」と私に言ってきました。
ところが、その時、母はそれを拒否したのです。

母は私に「彼と話すと周りの空気が負の空気になる。彼は悪いものしか持ってこない」と言いだしたのです。

母は私にとって最後の砦でした。
今となっては私も相当自分本位な考え方であることに気付かされますが、私は、母がこのままモラハラ夫と毎日話しをし続けてくれれば、モラハラ夫は変わってくれると考えていたのです。

そして、母はこうも言いました。

「お母さんもこれまであなた(私)のために、彼を機嫌良くしようと思って、彼のことを色々持ち上げていたけど、結局はあなた(私)を悪く言うばかりなんだよ。自分の娘をここまで毎回悪く言われて、気持ちいい親がいるわけないでしょう。今日からは絶対に彼とは話しをしないよ」

母はとうの昔に気がついていたのです。モラハラ夫の本性を。

けれども母は私を悲しませまいと気丈に耐えてくれていたのですが、それも限界になってしまったようです。

その電話以降、母がモラハラ夫と話しをすることはありませんでした。

母に電話を取り次ぐことができなかった私に対して、モラハラ夫は容赦ないモラハラをしてきました。

「俺は絶対にお前の地元になんか行かないからな。誰がそんな田舎に行くか。転職先だって一向に見つからないのに。もう知らないわ。お前は勝手に田舎で野垂れ死ねばいい。お前があの日、親を呼ぶからこんな風になったんだ。すべてはお前の自業自得。本当に不幸になることが好きだな、お前は。俺と離れてもお前は間違いなく不幸だわ。ざまあみろ。」

私はモラハラ夫との電話を切った後、母の前で大泣きしました。

「自分は人としても女としても価値のない人間なんだ」と。

すると母は、私を諭すように少し怒ったような声で言いました。

「そんなことない!彼と一緒にいようとするからそんなふうに思うんだよ。世の中にあなたのことを大事にしてくれる男の人は必ずいる。あなたのことを必要としてくれる人は必ずいるんだよ。」

また、転職活動が上手くいかないことに対しても母はこう言いました。

「彼の言いなりになっているからでしょう。そんなのおかしいじゃないの」

そう言って、母はおもむろに自分の携帯電話を取り出し、インターネットで私の転職先を探し始めてくれたのです。

私は母の言葉に泣くことしかできませんでしたが、母は検索する手を止めませんでした。

そして、ひとつの企業を見つけ出し「ここ、いいんじゃないの?」そう言って見せられたHPに、私も興味を引かれました。
その翌日、私は初めてモラハラ夫の言いなりではない企業に、自分の履歴書と職務経歴書を送付したのでした。

清武 茶々

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