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【8話】さよなら、妻のともだち

小説版

モラハラ小説

既にこれまでも何度かお話ししているように、モラハラ夫は、妻が外部の人間と接触することを極端に嫌います。

私が両親と疎遠になったのも、会社の飲み会に行けなくなったのも、モラハラ夫と婚姻してからです。

それは、妻が休みの日に妻の友人と遊びに行ったり食事に出かけたりすることも例外ではありません。

 

私は、モラハラ夫と婚姻したことで友人が減りました。

 

このモラハラ夫は極めて外部の人との付き合いに乏しい人間でした。

何度かお話ししていますが、このモラハラ夫は在宅で仕事をしております。

勤務時間も平日の9時から15時まで。残業はなし。

「仕事がハードで疲れたから休みの日は一日中寝ていたいよ」なんて台詞は今まで一度も聞いたことがありません。

モラハラ夫が接触する外部の人間は、ほぼ私のみでした。

そのため、私の仕事が休みの日には、必ずどこかへ自分(モラハラ夫)を連れ出すようにと促してきます。

私はいつもモラハラ夫のその要望に応えていました。

 

仕事が休みの日、仕事でクタクタになった自分の身体を休めるために、お昼前まで寝ていたいのを押し殺してまでも、モラハラ夫の機嫌を損なわないために、モラハラ夫と出かけるようにしていました。

 

けれど、私もたまにはモラハラ夫以外と休みの日を過ごしたい、と思う時があります。

それは、学生時代の友人と出かける時です。 

 

ある日の私の休日のことでした。

私は、大学時代に最も仲の良かった友人一人と久しぶりに再会し、出かけることになりました。

             

もちろん、モラハラ夫の許可を得てのことです。

友人と休みの日に会うときは、基本的に日中のことですので、夕飯の時間には帰宅できます。

飲み会に参加するときほどのハードルの高さはありません。

 

私は友人との時間を楽しみました。

二人で食事をして、買い物に行き、カフェでお茶をしながらお喋りをして、女子会を十分満喫しました。

あまりにも楽しかったので、私たちは来月もまた遊びに出かけることを約束しました。

友人からの提案で、次回のランチは少し高級なものを食べに行こうとも約束をしました。

 

そして私は予定通り夕方に帰宅しました。

モラハラ夫の機嫌はその時点では決して悪くなく、むしろ上機嫌でした。

それからいつものようにモラハラ夫からの問いかけが始まりました。

「今日は○○ちゃんとどうだったの?」

私は、久しぶりの再会でとても楽しかったことを詳細に話し、早速1ヶ月後にまた遊びに行く約束をし、そのときは少し高級なランチを食べに行こうと約束したことを伝えました。

 

この“約束”がモラハラ夫にはアウトだったようです。

途端に私はモラハラの引き金を引いてしまいました。

 

いつものように私は延々と数時間、モラハラ夫によるモラハラを受ける羽目になってしまいました。

色々なことを言われましたが、まとめると以下がモラハラ夫にとってアウトだった理由です。

1 当時交際相手のいなかったその友人が、私を彼氏の代わりのように扱う危険性があるだろう。

2 来月出かけたら今度はまた2週間後になり、そのあとはさらに1週間後になるだろう。

3 回を重ねる毎にランチの額が高くなり、恋人に使う同等額を友人に使うようになってしまうだろう。

4 そして、モラハラ夫と一緒に休日を過ごせなくなってしまうだろう。

 

モラハラ夫の予言です。

 

今になってみると、なんともおかしな話で、なんだか笑えてしまいますが、当時の私はモラハラ夫による洗脳を受けております。私は追い込まれてしまいました。

このままではモラハラ夫の言うとおりになってしまう、モラハラ夫と過ごす時間がなくなってしまう、自分はダメな女だ、なんとかしなきゃ。 

私は、その日のうちに友人に連絡を入れました。来月の約束はキャンセルして欲しいと。

そして、そのままその友人とは疎遠になってしまい、次に会えたのはそれから4年後、その友人の結婚式のときでした。

 

このあとも、私が友人と出かける度に様々なモラハラに遭い、その度に、私は一人、また一人と、友人と疎遠になっていきました。

 

とある日に、友人と買い物に出かけて、その友人と一緒に選んだ靴を買って帰ったことがありました。

その靴を見て、モラハラ夫が言った一言は、「ダサい」でした。

さらには、その友人について、「センスのない女、そんな女とよく買い物なんて行けるな」とまで言われてしまいました。結局その友人とも疎遠になってしまいました。

モラハラ夫に関する文献のどれをみても記載されているのですが、モラハラ夫は妻が友人と会うことを極端に嫌がります。

これは、妻への独占欲が非常に強いためです。

 

私はこうして、モラハラ夫と離れる頃には、学生時代の友人のうち、休みの日に遊びに出かけられる人は、ほぼいなくなってしまったのです。

 

清武 茶々

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