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【第31話】さだまらない住み家

小説版

私が地方店の店長として2年半が経った頃、モラハラ夫による、私を店長から引きずり下ろすためのシナリオが大成功し、私はついに店長から降格することになってしまいました。

私は、モラハラ夫のシナリオにより、店舗のスタッフ全員から総スカンを喰らい、問題社員として仕立て上げられてしまったため、店長になる以前の、元いた都市の店舗で、一般社員としてやり直すことになりました。

兎にも角にも、私たち夫婦は引越しをしなければなりませんでした。

以前にもご紹介していますが、私が店長になってからの当時の私たち夫婦のすまいは、私の会社からの補助が出ていたため、夫婦ふたりが住むにはもったいないくらい、広くて築年数も浅い綺麗なマンションに住んでいました。

しかしながら、今回は、元いた都市に戻るため、会社は、引越し費用は負担してくれましたが、それ以外についての補助は一切出してはくれませんでした。

けれども、人間「慣れ」とは怖いもので、一度でも美味しいものを味わってしまうと、そこからレベルを下げることは容易なことではありません。

私たち夫婦は、インターネットで家探しを始めました。

この家探しが非常に難航したのです。

当時の、家賃補助を抜いた同等の手出しの物件となると、部屋は狭くなり築年数も古くなります。

かといって、同等の広さと築年数で探すと、家賃が跳ね上がり、とてもじゃありませんが、夫婦ふたりが1ヶ月生活するには経済的にだいぶ苦しくなってしまいます。

また、モラハラ夫は住む地域にも非常にこだわりを持っておりました。

モラハラ夫が指定するエリアは、確かに生活するには便利でしたが、私たち夫婦の条件に合う物件数がとても少なかったのです。このこともあって、更に私たちの家探しは難航を極めました。

それでも、どうにか条件を絞り、様々な不動産サイトを閲覧した結果、ようやくいくつかの物件をピックアップすることができ、いざ、現地へ内覧に行く日がやってきたのです。

内覧には交通費の関係で、私一人だけが3日間掛けて行くことになりました。

特急列車で2時間かけて、目的地にたどり着き、モラハラ夫が指定するエリアにある不動産屋で、私はこれまで夫婦ふたりでピックアップしてきた物件を内覧したいと希望しました。

ところが、事前に不動産屋に予約をしていたわけではなかったため、私たちがピックアップした物件のほとんどは、既に契約されており、内覧することは不可能でした。

そこで、不動産屋に物件の条件を伝え、新たにいくつかの物件を提案してもらい、内覧することになったのです。

この内覧もまた、難航しました。

どの物件を見ても一切ピンとこないのです。賃貸物件の内覧に行かれたことがある方は、感じたことがあるかと思いますが、家探しをしていて、自分の条件や希望に合致する物件に出会うと、ピンとくる何か「気」のようなものがあると思います。

ところが、その時は、どれだけ物件を内覧しても、ピンとくるどころか、マイナスの「気」しか感じられないのです。

結局その日は何の手応えもなく一日を終えてしまいました。

私は、モラハラ夫へその日の内覧の結果を報告することに恐怖しか感じておりませんでした。

モラハラ夫に報告の電話を入れると、案の定、モラハラ夫からの激しいモラハラが待っていました。

「お前が現地にひとりで見に行ってるんだから、いい物件が見つけられないのは、お前が悪い。お前がちゃんと見てないからだ。」と。

当初、私は、今回のこの引越しに大きな希望を抱いていました。

引越しができれば、モラハラ夫はきっと変わってくれると。

けれども、物件探しがちっとも上手くいかないため、その希望も徐々に薄くなってきていました。

それでも私は、マイナスしか感じない物件の中から、なんとか無理矢理に物件の良い部分を絞り出し、モラハラ夫からのモラハラを受けながら、ふたりで話し合いを重ね、ようやく一つの物件を契約することに決めたのです。

ちなみに私たち夫婦が契約した物件は、築10年に満たない、駅から徒歩1分のデザイナーズマンションでした。広さはこれまで住んでいた住まいの3分の2にはなりましたが、端から見たら、広くてオシャレな物件だったと思います。

単に、家と私たち夫婦の相性が合わなかったのでしょう。

私は、不動産屋でこの物件を契約するとき、自分自身に無理矢理言い聞かせていました。

「この家に住めばモラハラ夫は変わってくれる。モラハラを止めてくれる。私たちの未来は明るい。大丈夫」と。

そして、引越しの当日、私はマンションの自室のドアを開けた瞬間に思いました。

「ここじゃない。はやくこの家から出たい」と。

そして、モラハラ夫がこの新しい家に足を踏み入れ、引越しの荷物を搬入した数時間後に発した言葉がこうでした。

「こんなおもちゃみたいな物件借りやがって」と。

新しい家は、新しい絶望のはじまりとなったのです。

私たち夫婦が離婚するまで半年を切っていました。

清武 茶々

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